タイ旅行記2024・その2 ~パクチョンの夜→カオヤイふたたび~

みなさんチョメっす!
ガラパゴスのMAD☆DOG・フタキでぇ~~~ッス!!!

 

前回の旅行記ブログ更新から5カ月以上経っちゃったので、何の話ですか?

という方も大勢いらっしゃると思いますから説明しておきますね。

2024年7月にウチの夫婦+カメラマンの川添さん+元アルバイトのアヤカさんという4人編成でタイ中部~北部を巡る散策ツアーに行ってきたんですよ。

詳しくは前回のブログをご覧になっていただけるとありがたいんですけど、とにかく初日の夜から大収穫でみんな大はしゃぎ!

 

あ、大収穫と言っても自然観察としての大収穫ですよ。

ワタシの身上として、見つけた生き物は何ひとつ持ち帰らない、と決めています。

そもそも生き物たちが野生に暮らす姿を見るのが目的で旅をしていますから、市場なんかに行っても買い付けなどは一切しません。

それはそれで輸入業者さんがやっていることなので、ワタシは自然から勉強させていただくだけなのです。

 

というわけで前回は、夜のパクチョンで綺麗なアミメニシキヘビを見た後にオルダムマルガメを川添さんが見つけたところでしたね…。

では続きをいってみましょう!

 

オルダムヤマガメがいた水たまりまでは小高い丘を登るような感じで散策していたのですが、ここからは緩い下り坂です。

先ほども見つけたカルダモンホソユビヤモリ(Cyrtodactylus intermedius)が再び現れたり、、、

さっき見たトッケイ(Gekko gecko)よりもだいぶ大きな、いわゆる「タイランド」っぽい個体が現れたり、、、

と、ちょいちょい色んなヤモリが現れ、とくにシャムザラハダヤモリはかなりの数が出てきます。

もちろんホオグロヤモリっぽい壁チョロ系もチラホラ現れるんですけど、川添さんが「コレは何か違いますよね…」と言って撮影していたのがコレ。

ガイドのビア氏も「コレは街にいるのとは違う種だから撮影しといた方がイイよ!」って言うから撮っときましたけど、何が違うの???笑

でも帰国後にちゃんと調べてみたところ、おそらくこれは今回訪れた地域に局所分布しているフェルマンフトオヤモリ(Gehyra fehlmanni)だと思います。

典型的な模様が現れていない状態なので判別しづらいんですけど、たぶん合ってるはず!

それにしてもこんなハウスゲッコーみたいなヤモリの違いに気づくなんて、さすがは川添さん!!!

 

ちなみにこのヤモリが捕食しているシーンを妻が捉えております。

食べている昆虫のことを「トンボみたいなの」と言っておりますが、後にコレが結婚飛行しているシロアリということを我々は知ります。

ちょうどこの時期はヤモリにとって食べ放題のパラダイスだったのかもしれませんね~♪

 

さらに進んで行くと崖にせり出すように小さな小屋があって、その中に置いてある仏教っぽい本の下に、、、

ヘビがいるの、分かります???

そーっと本をどかしてみると、、、

ゴールデントビヘビ(Chrysopelea ornata)がいました!

しかもデカい!!! 今まで自分が見た個体で、ここまで大きいのは初めて!!!

ワタシの指と比較していただくとサイズ感が分かると思いますが、2~3年目のアオダイショウくらいのサイズです!

ヤモリやトカゲを食べるヘビとして知られていますけど、そりゃトッケイとかを食ってりゃこれくらい大きくなるよな…。

やっぱ野生のスケールは凄いなぁ~。

 

と、感心しながら先を行くと、こんどは小さな小さなカエルが。

ヒメアマガエルの仲間なのは間違いないのですが、ムクレシュール(Microhyla mukhlesuri )? それともヘイモンズ(M. heymonsi)?

最初はムクレシュールかと思ったけど、コレは後肢が長く発達しているように見えるからバードモアヒメアマガエル(M. berdmorei)なんじゃないかな???

 

そんな感じで小さなカエルや小さなヤモリがチョロチョロと現れるなか、妙にゆっくりと動いている物陰を妻が発見しました。

太い木の根元付近を歩いていたのは、なんとチョウハンホソユビヤモリ(Cyrtodactylus papilionoides)です!

背中にチョウチョウのような模様が入るのが特徴の小型ヤモリ。

ペットとしての人気も高く国内でも時折流通する種ですが、じつはタイ中部にしか生息しない固有種です。

ゆったりとしていて柄も美しいから、思わずみんなで「カワイイ~!!!」と声に出して大騒ぎ♪

でもガイドのビア氏が「このヤモリはブラックマーケットでも人気があるから、密猟個体が高価で取引されているんだよ…」と教えてくれました。

う~ん、、、闇が深いなぁ…。

 

そんな感じでひと通り散策を終えて、みんなで車に乗り込みホテルへ帰ります。

すると、走り出して間もなく車が急停車!

そこにいたのは、、、

道路の真ん中に横たわるアミメニシキヘビ(Malayopython reticulatus)です!!!

夜になって気温が下がったから、まだ温かいアスファルトの上に出てきてお腹を暖めているんですね~。

先ほど森のなかで見た個体ほどではありませんが、こちらも典型的なカラーリングが美しい!

そして微動だにしないので、ちゃっかり記念撮影!笑

アヤカさんは「人食いヘビですよねぇ…。こわ~」とか言いながらおよび腰で近づいてます…。

この後もジッとしていたので尻尾を掴んで引っ張ってみようとしたら、急にもの凄い力を出して森のなかへスルスルと帰って行きました。

 

さらに少し進んだところでまた車が停車。

そこにいたのは、、、

よくこんなん見つけたね、、、というサイズのツユダマセタカヘビ(Pareas margaritophorus)!

カタツムリを食べることで知られるセタカヘビの仲間ですが本種はナメクジを(も?)食べる種で、たしかにこのヘビがいるところにはアシヒダナメクジがたくさんいます。

地表にいることが多いと言われていますが、前回タイに来たときには枝の上にいたので立体活動もある程度はするようですね。

 

ひとまずこれくらいで初日夜の散策は終了。

たった一晩であまりにも多くの種類を見ることができたから、みんなフラフラ…。

ホテルに帰ってからは部屋の周りに集まってくるホオグロヤモリやトッケイを少しだけ観察してすぐに爆睡しました…。

 

翌朝、まずは素敵なホテルの朝食をいただきます。

川のほとりのテラスでミズオオトカゲを眺めながら美味しいタイ料理♪

なんかもうそれだけで幸せいっぱいなんですけど、この後すぐにカオヤイ国立公園へ向けて出発です。

我々夫婦は2023年の11月にカオヤイを訪れたので約8か月ぶり。

でも川添さんとアヤカさんにとっては初めてのカオヤイなので、ウチら夫婦はちょっとだけ先輩面です…笑

 

ホテルから車で30分ほど走って国立公園のゲートに到着。

そこからさらにグイグイと山道を登って行き、最初の休憩エリアへ到着する前にビア氏が見つけた生き物を夢中で撮影する川添さんとアヤカさん。

二人が一生懸命撮影しているのは、、、

(Photo: アヤカさん)

出ました! インドシナウォータードラゴン(Physignathus cocincinus)です!!!

前回は一生懸命探して1個体だけ。

そしてじつは今回もこの1個体しか見ることはできませんでした。

ベトナム便でわちゃわちゃとベビーが流通していたため、どこにでもいるトカゲと思われがちですが、少なくともタイでは結構なレア種。

オーストラリアのヒガシウォータードラゴンに比べると生息密度は遥かに薄いんですよ!

川にせり出した細い枝の上で絶対に人間の手が届かない範囲にいることを分かっているからジッとしていますけど、いかにも警戒心が強そうな視線で我々を見下ろしています。

 

ひとしきり撮影したら、さらに5分ほど山を登って一旦装備を整えるためにビューポイントで休憩です。

しかし、そんなタイミングでもガイドのビア氏は生き物をさりげなく探してくれています。

「ほら、あそこを見てごらん!」とウッドデッキの下の隙間をライトで照らすビア氏。

そこには、、、

散らかったゴミに紛れてカルダモンクシトカゲ(Acanthosaura cardamomensis)が佇んでいました!

暗い物陰に潜んでいるため体色は地味な隠蔽カラーになっていますが、威風堂々と胸を張っている様子がカッコいい!!!

ちなみにこのトカゲはジュウジカクシトカゲ(A. crucigera)から2010年に分割された種で、タイ中東部~カンボジアにかけて生息しています。

それに対しジュウジカクシトカゲはタイ西部に分布していてるんですね~。

カルダモンクシトカゲはジュウジカクシトカゲに比べてクレストやツノ状突起がより長く発達するのが特徴です。

なお、この個体に近づいて捕まえようとしてみたのですが、ちょっと近づこうとする素振りをしただけでパパァーッ!という速さで逃げて行きました…。

いかにもクシトカゲらしい動きにニヤニヤしてしまいます。

 

さらにこの場所から十数歩の距離でビア氏が「こっちも見てごらん!」と。

呼ばれた先の藪で、何かを夢中に撮影する川添さん。

何がいるか分かりますか??? なんとここにいたのは、、、

フォーゲルアオハブ(Trimeresurus vogeli)のメス!

体側に入るラインが黄色いのがメスで、オスには白いラインが入ります。

カオヤイ国立公園には3種のピットバイパー(アオハブ)が生息しておりますが、個人的にはフォーゲルの顔がゴツくて一番好きです!!!

こうやって木の枝の上でジッとして獲物を待ち伏せし、通りかかるトカゲや鳥を捕食しているんでしょう。

 

まだ本格的な散策をスタートしていないのにいきなり色々な爬虫類が見つかって、嬉しい気持ちになりながら先へ進みます。

ガイドのビア氏は2023年の11月に我々夫婦がカオヤイを訪れた時とは違うコースを選んでくれたようで、ちょっと雰囲気が違う林の中を歩いていきます。

道中にはド派手な毛虫がいたり、、、

陸生ホタルが枝の上を歩いていたりと、爬虫両生類以外の生き物も多数現れます。

これくらい目立つ色でアピールしてくれていると発見しやすいんですが、、、

こうやってツルや枝のように擬態されるとなかなか発見できません…。

ビア氏が見つけてくれたのはオオアオムチヘビ(Ahaetulla prasina)でした!

グリーン、イエロー、シルバーの3色がいることで知られる本種ですが、このカオヤイにはなぜかイエローとシルバーしかおりません。

そして2023年に見つけた個体はイエローだったから、今度はシルバーが見られてラッキー!!!

で、この個体を撮影しやすい場所に移動すると、、、

怒って体を膨らませ、無地だったボディにチェッカー模様が現れました!

うぉ~! コレはカッコいいぞ!!!

 

さらに進んで行くと、ビア氏が木の上を指差して「ほら、あそこ…」と言うので見上げてみると、、、

樹幹部に小さなトカゲの陰が! しかしよくこんなん見つけるよなぁ…笑

これは恐らくコガラウロコトビトカゲ(Draco taeniopterus)じゃないかな? とのこと。

さすがにこんなシルエットでは種まで同定できませんけど、トビトカゲがそこにいるというだけでも興奮しちゃいます。

 

さらに進んだところで小さな川の上に渡された橋を渡っている途中、アヤカさんが「アレなんですか?」と、、、

指差す先にいたのは甲長15~20㎝くらいのビルマオオスッポン(Amyda ornata phayrei)でした~♪

こんな遠くからでは種の同定もできませんが、カオヤイに生息しているスッポンはビルマオオスッポンだけなのでそこから判断しています。

しかしアヤカさんの生き物を発見する「眼」が凄い!

オーストラリアで一緒に散策したときにも、山の頂上から崖の下の海を泳ぐウミガメを見つけたりしてたし…。

本人曰く「視力だけは自信ありますからっ!」とのこと。

 

そんな感じで午前中の散策を軽く済ませ、お昼ご飯を食べるために別のポイントへ車で移動。

道中、路肩に車を停めて何の変哲もない草原を双眼鏡で眺めながらビア氏が何かを探しています。

すると「あっ!いた!!! あそこを見てごらん!」と言われた景色がコレ。。。

皆さんには何かが見えますか? ワタシは何も見えませんでした!

「え? え?」となる我々のために、ビア氏がレーザーポインターを使って場所を教えてくれたところの画像を拡大してみると、、、

まるでネッシーかモケーレ・ムベンベのような怪しい影が!!!

じつはコレ、巣穴から出てきて日光浴をしているアカオビバタフライアガマ(Leiolepis rubritaeniata)なんですね~。

ビア氏は「車内から望遠レンズで撮影しないと難しいよ」と教えてくれましたが、そんなバズーカみたいなレンズ持ってないよ!!!笑

ということで我々は、ちょっと車から降りて近づいてみましょう。 と、ドアを開けた瞬間、バタフライアガマは「シュッ!」と巣穴にイン

何匹かバスキングしていたのですが、全頭が一瞬で消え去ります。

コリャ無理だわ~って撮影は諦めたけど、いちおう巣穴はちゃんと確認しときましょう。

ハイ、こんな感じですね~。

セミの幼虫が抜けた穴より少し大きいくらい、ちょうどザリガニの掘った穴くらいの大きさかな?

どうやらバタフライアガマはこの巣穴を拠点にエサを食べたりバスキングしたりという生活を送っているようです。

そしてとてつもなく警戒心が強いので、そりゃ飼育しづらいトカゲだよ…というのも納得。

こんな状況は飼育下ではなかなか再現できないもんね…。

 

しかしやっぱり野生の姿を見るのは、ホントに勉強になるなー!!!

 

次回のタイ旅行記2024はカオヤイの後半と北部へ向かう道中の様子をお伝えいたします。

お楽しみに~ッ!!!!!!!!