真面目にバナスパを語る

みなさんチョメっす!
ガラパゴスのMAD☆DOG・フタキでぇ~~~ッス!!!

 

普段はどーでもいい話から始まることが多いガラパゴスの新入荷ブログですが、今回はマジメにうんちくを語るぜ!

って言うのもさ、なんかSNS上では「バナスパ(バナナスパイニーテールイグアナの略)が本物かニセモノか」疑惑が頻繁に話題になるわけですよ。

で、それに関する爬虫類ファンのコメントを読んでると

お前ら、ホントにトゲオイグアナのこと分かってんの???

って思っちゃうんですよね…。

 

でも陰で思ってても仕方ないし、じつは結構ややこしい件だから、ちゃんとワタシが分かってる範囲内で啓蒙するぞ!

 

初心者でも簡単にザックリと分かるように何年か前のレプファンには記事を書きましたけど、、、

どうやら現在、紙媒体版のは売り切れちゃってるみたいだから、興味がある人は中古で探すか電子版で読んでみて。

しかしあくまでもレプファンではトゲオイグアナ全般をペロッと舐めるように書いただけなので、これを読んでもバナスパのことはよく分からんと思う。

だから今回、ウチの妻に頼んで分かりやすいイラストを描いてもらったので、それと一緒に解説していきまっす!!!

 

まずトゲオイグアナ属というグループについて。

現在の分類ではトゲオイグアナ属(Ctenosaura)は大きく分けて3グループに分類されています。

ツナギとかサンエステバンとかクシみたいに「ザ・トゲオイグアナ」って感じで大きくなるタイプと、キマダラとかスベノドみたいに小型のタイプ、それからノドダレとかベイカーみたいにデュラップ(喉の下にあるビロビロ)が垂れるタイプ。

そのなかで特に混乱を呼んでいるのが、今回詳しく解説していこうと思っているクシトゲオイグアナ(Ctenosaura pectinata)なんですよ。

 

SNS上では「タイCBのバナスパを買って育ててみたら、全然バナスパじゃなくてただのクシだった」みたいな話がありますけど、何言ってんでしょうね?

バナスパってのはクシトゲオイグアナだし、バナナスパイニーテールイグアナっていう種のトカゲはこの世に存在しません!!!

ちょっと何を言ってるか分からなくなってきたかもしれないので、順を追って説明しましょう。

 

トゲオイグアナ属の中の1種であるクシトゲオイグアナ。

そのクシトゲオイグアナのなかには5つの地域個体群が確認されています。

なお地域個体群ってのは、その種が棲んでいる地域によって体色とかサイズとか雰囲気が違ってるんだけど、亜種として分けるほどの差異はないよね…。

とされている変異のことを言います。

コレ、ただ単に学者さんの研究論文が世間に追いついてないだけで、将来的に亜種として分類されることとかもフツーにあります。

それとは逆に今までは亜種として分けられてたけど、ちゃんと調べてみたらただの地域個体群じゃね? ってなり、亜種が抹消されることもよくあります。

 

で、その5種類の地域個体群なんですけど、、、

上のイラストみたいな感じになってるみたいです。

 

1,全身がベターッと黄色になるタイプのバナスパで、アメリカのブリーダーであるケリー・ポール氏が殖やしてたタイプ。

海外では「バナナペクティナータ」って呼ばれることが多いです。

このイエローファントムってのは多分日本独自の呼び方ですねケリー自身が他のクシトゲオイグアナの地域個体群と差別化するために名付けた品種(?)名なんだって!

※たった今、アライブの小島さんに教えていただきました! スペシャルサンクス♪

ケリーのところに直接行ってイエローファントムを日本に導入した張本人が言ってるんだから、この情報は間違いありませんよ~!!!

そしてこのイエローファントムは性質が非常におとなしい個体が多いと言われています。

 

2,黄色のベースに黒い縦縞(ヨコジマ??)が入るタイプのバナスパ。

これも海外では「バナナペクティナータ」って呼ばれてて、アメリカではケリー氏も所有してたし、ほかのブリーダーも所有してました。

最近になってタイでブリードされているバナスパはこのタイプが多いようです。

日本ではイエローファントムと差別化するためタイガーとかタイガーバンドと呼ばれますね。

こちらもおとなしい個体が多いんだけど、イエローファントムに比べるとバタつくのが多いような気がします。

 

3,成長とともに全身が黒くなっていき、そのあとに白い部分が部分的に現れるタイプ。

外見通り国外でもパンダと呼ばれることが多いようですが、国内ではパンダパイドという呼び方が一般的です。

白く抜ける部分の面積は個体差が激しく、ほんの少しだけ白い部分が現れるものもいれば、ほぼ全身が真っ白になるのもいます。

ベッタベタに人馴れする個体もいますけど、特に幼体期はバタつくのが多いような気がします。

 

4,ワイルド個体として入荷するクシトゲオイグアナと言ったらコレ。

幼体期~亜成体期は緑色の体色ですが、成長とともに茶色や赤や白い細かな斑点が全身に広がっていきマーブル状になります。

世界中の誰もそんな呼び方をしておりませんが、成体時の柄がマーブル状なので上のイラストではマーブルタイプとしておきました。

これがいわゆる「普通のクシ」なのでマーブルタイプ=クシ、と思っている人が多いようですが、分類上ではバナスパもパンダパイドもクシです。

で、最近タイCBで流通しているバナスパやパンダパイドは、恐らくこのマーブルタイプが混じってます。

えー! と思うかもしれませんが、別にタイCBじゃなくてアメリカCBでも昔はそういうのよくありました。

幼体のうちはどの地域個体群も同じような外見なので(マニアックに見ると少し違うけど)、数年間育ててみなきゃ結果は分からんのです。

だから信頼できるブリーダーのところで殖やされていて、なおかつちゃんと親個体の体色が分かっていれば、当然のことながら価格もそれなりになりますよ。

ちなみにマーブルタイプはほとんどの個体が荒い性質で、いつまで経ってもバタバタするのが多いような気がします。

 

5,何年も前にワイルド個体で入荷するものの中に、全身が真っ黒になるタイプのものがおりました。

世界中の誰もそんな呼び方をしておりませんが、ワタシは勝手にブラッククシと呼んでいます。

簡単に言うとパンダパイドの白い部分が無いタイプなんですけど、性質は超神経質で激荒。

外見は格好良いんだけどねぇ…。

って印象がありましたけど、最近はこのタイプを見かけなくなりました。

 

以上5タイプ、どれもクシなんだけど1と2の両方ともバナナと呼ばれてたり、他タイプとの交雑もあったり、とにかくごちゃごちゃしてるんですよ。

ブルーファントムとかブルーペクティナータって呼ばれるものはクシとツナギのハイブリッドだし、パンダパイドにはロアタンが混じってる説もある。

まぁ、だからバナスパに関しては「本物」とか「ニセモノ」とか、そんなん勝手にこっちが言ってるだけ。

基本的に親個体の素性が知れていない幼体に関しては、将来どんな感じに成長するかギャンブルみたいなもんだと思ってください!

 

っていう、ちょっと真面目な爬虫類の話でした。

 

さて、それでは以上のうんちくを踏まえたうえで新入荷情報をイッてみよーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!

 

 

その1
クシトゲオイグアナ ”イエローファントム”

Ctenosaura pectinata

ハイ! 冒頭のうんちくを読んでくれた人なら、コレが何だか分かりますね!!!

ケリー氏がブリードしていた真っ黄色のクシ(通称イエローファントム)同士の個体から産まれた国内CBのイエローファントム!

背中のクレストが縞模様になるのはバナスパとかパンダパイドの特徴ですが、それだけじゃ将来の色味までは予測できませんよね…。

でも、両親の素性がハッキリと分かっている国内CBなら、将来は間違いなくタイガーバンドじゃなくて真っ黄色タイプなはず!

現在はイエコオロギをメインで食べてグングン成長してます!

これくらい体格がシッカリしてきたら、そろそろ草食傾向に切り替えていってもイイかな? ってサイズですね。

まだメイビーですけどペアも取れますんで、イエローファントムの所有者もそうでない人もべったりと黄色が乗るバナスパをやっちゃいましょう!!!

 

 

その2
ユカタントゲオイグアナ
Cachryx defensor

こちらはバリバリに飼い込まれたワイルド個体のペア。

画像上がオスで下がメスです。

メスは指が飛びまくってますけど、これでピョンピョンと木に登れるから凄い!

ちなみに当店へ入荷してからはオスがしきりにボビングしていて、交尾? と思えるような行動もしています。

もしかするとかかってるかも???

 

冒頭でマジメなウンチクを語ったついでですが、ユカタンによく似たカンペチェ。

何が違うの? って聞かれることが多いんですけど、簡単に見分ける方法はコレ。

まずはユカタンの尻尾を見てください。

これに対して、カンペチェはこちら。

まだ産まれて間もない幼体の尻尾なので棘状突起のゴツさはありませんが、トゲの先端がクイッと後ろに向いてますね。

そして何よりも大きな違いは、棘状突起が並ぶ列と列の間に小さい鱗の列が入ってますよね。

ユカタンでも多少は小さい鱗が入る個体はいるんですけど、カンペチェの場合はこれが尻尾の先の方まで続くのが特徴。

色彩とかサイズといった雰囲気だけじゃなく、尻尾の形状を見れば簡単に判別できますよー!

 

なんて言ってましたけど!

 

この判別方法はあくまでもワタシが持っている資料(Herpeton社の”Schwarzleguane” Gunther Köhler著)に基づくものです。

この本は2002年に発行されているものなので、今から20年以上も前の情報。

現在ではカンペチェとユカタンがCtenosaura属から分かれてCachryx属という分類になっています。

どうやら分子系統解析によるとガラパゴス諸島のイグアナに近縁なのではないか? ということらしいですよ。

 

つまり結局何が言いたいかというと、さまざまな資料を見ているとカンペチェとユカタンの中間的な特徴の尾を持つ個体も多く存在するということ。

カンペチェとユカタンの生息域が重なっている部分は無いとされておりますが、少なくとも陸続きで隣接していることは確かなので自然下交雑もありえるよな…?

じゃあどこで判別すれば良いのか? って話なんですが、他にも見分けるポイントとして第4趾の裏側の膜層の数とか、尾の棘状鱗列数とか、頭胴長と尾長の比率とか、そんなんがみたいなんだけど、どうやらそれも曖昧らしいッス。

みたいなことが「Never judge an iguana by its spines: Systematics of the Yucatan spiny tailed iguana, Ctenosaura defensor (Cope, 1866)」っていう論文に書かれていたので、ちょっと時間がある人は本気で色々調べてみて!

 

そしてワタシに正解を教えてください!!!

 

 

その3
キタチャクワラ
Sauromalus ater

これまた凄いのが続きます!

成体の色彩からは想像もつかないような派手さを持つキタチャクワラのベビー!!

しかも何が凄いって、国内CBのレッドバックだッ!!!

ブリーダーさんの話を聞くと「あぁ、なるほど。そりゃ簡単に殖えないよね…」という秘密がありました。

それを解明しちゃう技術力にはマジで脱帽!

※こんな可愛いベビーですから、やはり一瞬でSOLDOUTとなりました。あしからず。

 

 

その4
ベーコンミズトカゲ
Tropidophorus misaminius

スラウェシクロコダイルスキンクとも呼ばれる半水棲のゴツゴツ系スキンク。

そりゃ綺麗にレイアウトしたアクアテラリウムで飼育するとカッコいいですけど、フツーに大きめの水入れを入れただけのケージでもOK。

意外と環境適応能力が高いトカゲなのかもしれませんね~!

 

 

その5
ヒョウモントカゲモドキ
Eublepharis macularius

画像上からハイイエロー、タンジェリン、マックスノー。

当店ではスタンダードなモルフをメインに在庫しており、どの個体も人工飼料に餌付けてます!!

 

 

その6
タイリクシマヘビ
Elaphe quatuorlineata

日本にいるシマヘビとほぼ同じやんけ!

というツッコミが入りそうですけど、幼体期は色味が全然違います…。

それだけじゃなく、、、

日本のシマヘビとは顔つきが全然違う!

この個体は160㎝オーバーの立派なオスなんですけど、まるでホオジロザメみたいな顔が超イカしてるぜ!!!

 

 

その7
クロサンカクヘビ
Gracililima nyassae

名前も外見もよく似ているクロスサンカクヘビ(Limaformosa crossi)よりもツヤ感があって、体色も黒め。

しかも輸入直後の取れたてホヤホヤじゃなく、国内でしばらくストックされていた安心個体!!!

デフォルトで背骨が浮いてるから心配になっちゃうけど、この体型でプリプリです!

 

 

その8
ユンナンベニナメラ
Oreocryptophis porphyraceus pulchra

前回入荷した個体がまだ在庫で残っているのに、なぜか追加で入荷!

野生で見つけたら絶対に素手で触りたくないカラーリングですけど、完全に無毒なので安心してください。

飼育難易度が高めのヘビと言われておりますが、CBは案外フツーのヘビみたいに飼えますよ~♪

 

 

その9
スジクビヒメニオイガメ
Sternotherus peltifer

まだちっちゃいけどカメプロスをバクバク食べてる国内CB(2024)のスジクビちゃん!

店内には2023CBもおりますんで、1年でどれくらい育つのかも見てもらえると思います。

個体によってはヒラタニオイよりも小さいかも? ってくらいの小型種なので、ミニマム飼育できる水棲ガメですよ!!

 

 

以上。

それでは次回のマッドドッグブログもお楽しみにーーーッ!!!!!!!!!